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APRS
Automatic Position Reporting System
自動位置情報報告システム

RC-D710を接続するインターフェースを自作する
「PG-5Jのようなインターフェイス・ボックス」の製作




2007年夏頃、APRSに対応したトランシーバとしてケンウッドから発売された TM-D710(S)。その後、RC-D710として、単体でTNCおよび表示部の機能をもつTM-D710のフロントパネルのみが発売された。このフロントパネルは別売りのインターフェースキット(PG-5J)を介してTM-V71やTM-D710以外のトランシーバとつなぐ事ができるようになっているいわば「APRS運用に即応するTNC」だ。
 JQ1YDAでは、いち早くこのRC-D710を購入(といっても行き着けの販売店に発売日に注文してから1ヶ月以上かかった)。このインターフェースの自作に踏み切り動作確認を終了したので、まずはこの回路図を公開しよう。腕に自信があるかたは、ぜひインターフェースの自作にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
 なお、社団局運営予算の関係でPG-5Jは購入を断念。メンバーもTM-V71を使っていたためPG-5Jを用意する必要がなかった関係から、オシロスコープとテスターでインターフェースから出力されている波形や電圧を見つつ解析し接続回路を試作した。接続するトランシーバによっては変調レベル調整やAFラインのDCをカットするための電解コンデンサも必要となるだろう。
 よって、純正のインターフェース回路とは異なる可能性が充分に考えられるので、うまくゆかない場合でも試行錯誤で乗り切ってほしい。

■汎用の接続I/F回路と製作手順 (解析・製作JE4HBP T.Yamamoto)


(画像をクリックするとPDFファイル形式でダウンロードできます)

回路構成
・GPSレシーバはレシーバ回路とアンテナが一体となったDeluoGPS(コネクタはDINのもの)を想定しています。
GPSレシーバを新たに購入するならば、それとコンパチな「Byonics GPS1」を購入すると良いでしょう。「Byonics GPS1」は接続コネクタがD-Sub9ピン仕様となっており、ピンアサインは次のとおり→2番ピン=Serial Out, 4番ピン=5V Power in, 5番ピン=Ground 通販サイトはこちら
・三端子レギュレタ、78L05はGPSレシーバの電源用。7810はRC-D710の電源用です。よって、他のGPSレシーバを使う場合には78L05とその後ろにある回路は不用です。
・2極のオーディオプラグは2.5φでRC-D710側面のGPS端子につなぎます
・ツェナーダイオード(ZD)が書かれていますが必要ありません。
・データ端子から出ているスケルチ信号(SQL)を利用します SQL信号とは一般的にスケルチ開放時+5Vが出力されるラインです。無線機によっては+8Vが出力されるものがありますのでご注意ください。(IC-706シリーズは+8Vです)

製作にあたっての注意事項
・三端子レギュレタの放熱のため金属ケースやヒートシンクを利用するなどしてください
・GPS端子のピンアサインは Deluo GPS (6ピンDINコネ仕様) のピンアサインです。
・インターフェース回路、接続ケーブル(LANケーブル流用が安価)を製作してください。
 接続は RC-D710 <-> 接続ケーブル <-> インターフェース回路 <-> トランシーバとなります。
・RC-D710をデータ端子に接続した場合の免許手続きは「TSSの保証認定」が必要。
 (一般的な 1200bps/9600bpsのTNCをトランシーバに接続する形態となります)

■YAESU FT-90 と接続する方法(例)



実際に JE4HBP-9 で稼働中。(解析・製作JE4HBP T.Yamamoto)
RC-D710ではスケルチ信号を読んで送信制御をおこないますので、スケルチ信号を取り出す必要があります。ところが、FT-90にはデータ端子がないので、スケルチ信号を内部から取り出し、反転回路を通して、上記の汎用回路と組み合わせる格好となります。FT-90のスケルチ信号出力はマイクコネクタの1番ピンに出力するように改造しました。以下全回路です。



FT-90からのスケルチ信号取り出し処理(WiRESノード局用にも応用できます)

FT-90の内部から取り出したスケルチ信号はスケルチ閉の時に+5V、スケルチ開放時0Vとなるタイプ(ネガティブCOS)なので、反転回路を組んでスケルチ開の時に+5Vが出力されるように回路を組みます。 (Tr=2SA1015) 以下回路図。


以下にFT-90の場合の作業工程を写真で示します。
(画像をクリックすると拡大画像が見られます)



(1)底側のフタを開けます

(2)今回配線する位置の位置

追加回路のTrに与える電圧と、マイクコネクタの1番ピンにつながるラインの確認。

(3)今回配線する位置の確認

スケルチ信号の取り出し位置の確認。ここからネガティブCOSの信号を取り出すことができます。

(4)配線方法(例)

マイク端子の6ピンにSQL信号を出力させるために、基板上のジャンパ抵抗を除去し、そこに、今回の追加回路を接続します。(写真と回路図参照)。
回路は空中配線のうえ熱収縮チューブ等で絶縁し、必要に応じてホットボントや両面テープ・接着剤で貼り付けます。配置などは写真をご参考に。

(4-1)2.2KΩの取り付け例

(4-1)2.2KΩの取り付け例(拡大)

(5)インターフェースボックスを製作します。

モジュラージャック(基板付き)はサンハヤト社から出ています。ケースと一緒に千石電商で購入。※穴あけ加工済みケースは出ていません。面倒ですが四角い穴を開けて組み立てます。

(6)配線用のケーブルを用意します。

6ピンのDINコネ・・・マウス延長ケーブル流用
(↑Deluo GPS とつなぐ)
RC-D170との接続・・・RJ-45 LANケーブル流用
FT-90との接続・・・RJ-11 6ピン・ストレート結線。FT-7800等のフロントパネルと本体を接続するケーブル(スタ社の補修部品)

(7)RC-D710とつなぐ配線用ケーブル製作例

LANケーブルをちょっと剥いて、RC-D710のGPS端子へ接続するケーブルを割り込ませます。

(7)RC-D710とつなぐ配線用ケーブル(追記)
ここもホットボンドや、接着剤(スーパーX)などで固めると楽に処理できます。

(8)完成

FT-90 本体と両面テープで貼り付けて完成。
【参考】 上記のFT-90の場合の工事設計の変更手続き

すでにFT-90の技適番号を届けて免許を受けている場合には、「マイク端子に」一般的な1200bpsのTNCを接続する系統図を書いて総務省に直接申請する手続きでおこないました。(データ端子にTNCを接続する場合にはTSSの保証認定が必要です)

Copyright(c) JQ1YDA TWHC / JE4HBP T.Yamamoto
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