遠隔操作というと難しく感じるかもしれませんが、
イメージ的には、
無線機のフロントパネルと本体をつなぐケーブルを
インターネット回線に置き換えたようなしくみです。
コアとなるのは無料で使える「HRD」というソフトウェアです。
しかも、このソフトはパソコンでコントロール可能な無線機のほとんどに対応しているという
すぐれもの!!
HRDが対応しているリグ一覧はこちら
手持ちの無線機を外出先からもネット経由いじり倒そうではありませんか。
無線機との配線もカンタン!今すぐできちゃうかもしれませんヨ
このシステムを発展させて、無線機のメインスイッチのON/OFFから
ローテターやクランクアップタワーの上げ下げまで遠隔操作でやっちゃえるシステムを
構築してしまったツワモノも居るそうです。
以下のキャプチャは、会社のパソコンで自宅の無線機(FT-847)を操作している様子です。
家で無線はやらなくなってしまった昨今、非常に重宝しております。
会社の休み時間とか、外出先から、自宅の無線設備を使って
HF〜430MHzにQRVできちゃうんですからたまりませんよ〜♪
ご注意)このページは HRD ver 3.4 Build 1254 と Skype ver 3.8.0.115 を用いて紹介しています。
ソフトウェアのバージョンや使用する無線機などにより画面表示や操作方法が異なる場合があります。
●こんな使いかたができます
・外出先から自宅の無線機を操作してQSOする
・別荘にある無線機を自宅で操作してQSOする
・ノートPCとイーモバイル回線と組み合わせて、車内や屋外から遠隔操作!!
・社団局局の設備を社団局のメンバーが自宅から使う
・広帯域受信機能付き無線機を遠隔操作して、外出先からユーティリティ無線をワッチ
・VoIP無線ノード局や私設ビーコン・デジピータなどのパーフェクトな無人運用と遠隔監視に
●システム構築のためのスキルはどの程度必要なの??
必要なスキルは
・ポートの穴あけ・ファイアウォールの設定
・無線機とパソコンの接続ノウハウ
・動的IPアドレスの解決 (ダイナミックドメインDNSまたは固定IPの利用)
という感じです。WiRESのノードを立ててVNCでフルコントロールできる程度の知識があれば
カンタンに構築できることでしょう。
●法的にも全く問題ありません
アマチュア無線界では、ちょっと変わったことをやろうとすると、「違法じゃねーのか?」という輩が必ず出てきて足を引っ張るのですが、以下の要件をクリアすれば「やってよいよ」と行政がお墨付きを出しています。おもな要件はこんな感じです。
・免許上の手続きで「無線設備の遠隔操作の届出を」おこなっていること
・遠隔操作される設備まで3時間以内に行ける距離から遠隔操作すること
・免許人以外が操作しないように必要な措置がとられていること
根拠: 総務省審査基準→ http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/pdf/030731_2_b27.pdf
(改訂案ですが、案のとおりと思っていただいて大丈夫です)
ぶっちゃけ、WiRESのノード局を運用している人ならこんな要件は楽勝かと(笑)
免許上の手続き方法については、工事設計の「備考欄」に、「第n送信機はインターネットの利用による遠隔操作をおこなうことができる」と明記し、別紙を添付するだけでOKです。以下のサイトにサンプル書式があります。
http://jq1yda.org/topics/wires/shadan/index.html
もちろん、遠隔操作については変更申請をするなどして免許状が届いたら電波を発射してください。変更手続きが済むまでは送信禁止措置を講じて、ワッチのみで我慢しておきましょう。
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無線機によって構成の違いが出てきますが、以下のような感じの構成になります。
送信所と遠隔操作所を一体としてひとつの無線局として扱われます。
(だから免許上の手続きが必要)
必要な機材や環境の要件は以下のとおり
(1)HRD(ハムラジオデラックス)というソフトが動作可能なWindowsパソコンがあること
パソコンを外部からアクセスさせる「サーバー動作」が必要なため、 Windows2000,Windows
Xp,Windows Vistaがセキュリティの関係からもオススメです。
(2)HRDでコントロール可能な無線機があること
例: FT-100,FT-1000,FT-2000,FT-817,FT-847,FT-857,FT-897,FTDX-9000など
一覧はこちら
(3)以下の要件を満たすインターネット回線が使えること
グローバルIPアドレスが割り当てられていてポート7805番が使える
(すでにWiRESやEchoLinkが動いている回線でしたら問題なしです)
(4)Skypeが動作すること
音声の伝送には「Skype」(スカイプ)を利用します。理由はポートの穴あけ作業も原則不要で、音質もまずまずだかららです。
※インターネットを使わないでLANでもできます(この場合、「専用線」としての扱いとなります)
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遠隔操作システム構築のための準備と設定
・接続ケーブルの準備と配線
遠隔操作される側には、無線機とパソコンをつなぐインターフェースケーブルが必要となり、以下の2系統の配線が必要です。
コントロール系 |
RS232Cインターフェースを利用したコントロール信号(周波数やPTTの制御) |
AF系 |
パソコンのサウンドカード(オーディオ入出力)を利用したAF信号 |
コントロール信号はRS232C(COMポート)を利用してやりとりしますから、RS232Cケーブルや無線機のオプションとして設定されている(CATケーブル等)を利用してパソコンと接続します。AF系は、パソコンのSP端子と無線機のマイク端子を接続するケーブルとパソコンのMIC端子と無線機の外部SPまたはヘッドフォン端子を接続するケーブルをそれぞれ製作し、接続します。いずれも直結でいける場合がほとんどですが、レベル調整に難航しそうな場合は分圧回路を組みます。
参考 無線機と接続ケーブル (個人的に実際に使っている、または使ったことがあるもの)
無線機名 |
コントロール系統 |
AF系統(基本的に自分で作る) |
TS-480 |
RS-232Cストレートケーブル(DB9) |
ミニDIN6ピン⇔3.5φ2局オーディオケーブル
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FT-847 |
RS-232Cリバースケーブル(DB9) |
マイク端子⇔サウンドカードのSP端子
ヘッドフォン端子⇔サウンドカードのMIC端子 |
FT-857
FT-897
FT-817 |
CATインターフェイスケーブル
CT-62 |
マイク端子⇔サウンドカードのSP端子
外部SP端子⇔サウンドカードのMIC端子 |
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まずは、HRD(HamRadio Deluxe)を「遠隔操作する側パソコン」と「される側のパソコン」にインストールします。遠隔操作される側のパソコンで遠隔操作とは関係なしにリグがコントロールでるよう、結線・インストール。
そして、基本的な動作を確認・習得しておきます。
HRDの入手はこちら
注意点: 遠隔操作をするにはインストール後、追加設定が必要となります。まずは基本操作をマスタしましょう。
音声(AF)伝送用のソフトウェアとしてSkype(スカイプ)を使うのがもっとも手っとり早いと思いますので、Skypeをインストールして、パソコンにつないだスピーカとマイクで音声通話ができるようにセットアップ。
そして、基本的な動作を確認、操作方法を習得しておきます。
Skypeの入手はこちら
注意点: すでにSkypeのアカウントを持っているかたは、遠隔操作用に別のアカウントを新たに取得したほうが便利です。
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(1)動的IPアドレスを解決する
以下のページに説明がありますので、こちらを参考にしてください。
http://jq1yda.org/topics/vnc/index.html
遠隔操作する場合、遠隔操作される側のIPアドレスを指定しなければならないのですが、遠隔操作される側のルーターの電源を切るたびに、このIPアドレスが変化してしまい、接続できなくなってしまいます。これをIPアドレスではなく「ドメイン名」で指定できるようにするため、ダイナミック・ドメインDNSというサービスを使います。ダイナミックドメインDNSシステムならどこでもOKですので、がんばって解決してください。解決が面倒な場合は、プロバイダに固定IPを割り当ててもらうよう契約内容を変更してもらいます(ただし、月額利用料が上がる場合がほとんどです)。
なお、遠隔操作する側の回線を固定IPにしたりダイナミックDNSをあてたりする必要はありません。
(2)ポートの穴あけ・ファイアーウォールの設定をおこなう
WiRESやEchoLinkなどと同様、「遠隔操作される側」のパソコンで TCPプロトコルで7805番ポートのデータが届くようにしなければなりません。遠隔操作する側のパソコン側での穴あけは不要です。
ポートの穴あけについては、以下のページに説明があります。(参考程度にしかなりませんので、そのうち追記します)
http://jq1yda.org/topics/wires/nodestart/rooter.html
Windows Xpの場合のファイアウォールの例外設定(例)
― コントロールパネル→ファイアウォールを開いて
― 例外タブの項目で、プログラムの追加とポート7805番の追加をおこなう)
ルータ設定例 バッファロー社のBBR4HGの場合
― LAN設定→DHCPサーバー 項で、HRDを動かすパソコンを[手動設定]に設定する
― アドレス変換の設定でHRDを動かすパソコンに7805番ポートのデータが到達するようにする
(1)無線機との音声送受信用に Skype をカスタマイズする
ツール→設定→プライバシー で通話を許可するユーザーを「認証したユーザーのみ」にチェック
ツール→設定→プライバシー で自動応答 にチェック
ツール→設定→一般→オーディオ設定 のマイクの部分の「音声設定の自動調整を有効化」のチェックを外す
これらの設定が終わったら、実際に無線機とパソコンのサウンドカードをつないで、接続テストとレベル調整をおこないます。遠隔操作に利用する他のパソコンのSkypeから遠隔操作される側のスカイプアカウントに接続してテストしてみましょう。
遠隔操作に利用するパソコンのSkype側で無線機からの受信音声が聞こえたらOKです。
(2)「遠隔操作される側の HRD」を設定する
リモート機能をインストールして「ユーザー名とパスワード」を設定
Remort アイコンをクリック → HRD Remort Server をクリック → Install
をクリック (初期設定)
Configure をクリック → Viewer が開く → User Name と Password を設定する
外部からコントロールする人たちのユーザー名とパスワードを、(立ちあがってくる)テキストエディタ(メモ帳)で設定します。構文は以下のとおり。
USERn = UserName,Password,Action
上記の例だと、Simonがユーザー名で SnowTimeがパスワードとなります。遠隔操作する側のパソコンでは、ここに記載されたユーザー名とパスワードを使わないと、遠隔操作システムが利用できないようになっています。
なお、Action構文のオプションとして、送信禁止アカウントが設定できる機能もありますから、SWLやBCLユーザーにワッチ専用で使ってもらったり、海外旅行先など3時間でシャックに到達できない場所に居る時にも使うことができそうです。
書き換えたあとは、File(F) →上書き保存(S) で保存してください。
(3) Start ボタンを押して 遠隔操作受付状態にする
【重要】 遠隔操作される側では無線機にコネクトしないで待機させている必要があります
↓このような状態になればOK
遠隔操作する側のパソコンに HRD と Skypeをインストールして使えるようにする
遠隔操作する側のパソコンにも同じ HRD をインストールします。Skypeも「遠隔操作される側のSkypeアカウントと別のアカウントで」インストールしておいてください。遠隔操作される側のSkypeで、遠隔操作する側のSkypeのユーザーアカウントを認証しておく必要がありますので、事前にSkypeがちゃんと動くかどうか充分にテストしておきましょう。
(1)遠隔操作する側のパソコンの操作 HRDを起動する
コネクトボタンをクリックします。これが基本です。遠隔操作をスタートする場合はいつもこれです。
←コネクトボタン
初めて Connect ボタンを押した場合などは、以下のウィンドウで遠隔操作する無線機の型名などを設定します。遠隔操作COM
Port: を Remote に設定するのがミソ。Speed は「遠隔操作される側」のCOM Portの通信速度です。Autodetect
でイケる場合がありますが、イケない場合には、遠隔操作される側のパソコンと無線機との間の通信速度(bps)を調べて選択します。Flow
control は 通常 RTSです。
設定したら、[→Connect]をクリックします。
次に、ちょっとデカメのウィンドウが登場しますので、遠隔操作先のIPアドレス(またはドメイン名)や、「遠隔操作される側のHRDに設定してある」ユーザ名やパスワードを入力したりします。→Connect ボタンを押すと、接続先に登録してあるメッセージやら、回、設定項目が追加で出現する場合がありますので、設定して、また Connctボタンを押すと遠隔操作が始まります。
エラーが出てしまった場合には、設定項目を確認するほか、「遠隔操作される側のパソコン」でHRDが待機状態になっているか確認します。(遠隔操作される側で無線機をコントロールする状態になっていたら接続できない)
(1)遠隔操作する側のパソコンの操作 Skype を起動する
HRDを起動しただけでは、リグコントロールだけですから、Skypeも起動すれば音声のやりとりが可能になります。
通常、HRDとSkypeを同時に稼働させて、遠隔操作をこなします。
どこかに Remote Connection Windows があるはずです。ここを開くと、コントロール・データのタイミングとか内容を選択することができます。Metersにチェックしておかないと
Sメータが効きませんので、インターネットの重さにあわせて適宜設定します。
ここまでやればあとは運用あるのみ。出かけた先からネットで。免許人が送信所に居れば、信頼できる友人知人にアカウントを教えて無線設備を使ってもらうこともできます(ゲストオペ制度の準用)
。社団局で送信所を立ち上げれば、社団局構成員が送信所を監視し3時間以内に送信所に行ける距離にいれば、他の社団局構成員が(たとえ海外に居ようとも)遠隔操作で運用できるともいえます。このあたりの、やっていい事、悪いことは以下のサイトを参考にしてください。
http://jarl.or.jp/Japanese/7_Technical/d-star/digital-guide.htm
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