TOPICS | |||||||||||||||||||||||||||
Automatic Position Reporting System 自動位置情報報告システム D-STARとAPRSの融合 (D-STARデジタルモード用IGATE局 = DPRS Interface の活用) |
|||||||||||||||||||||||||||
D-STARの音声通信モード(DVモード)では、「音声」と「データ(低速)」を同時に伝送することができます。このデータ伝送機能を利用してGPSレシーバーから吐き出される位置情報のデータも音声と同時に送受信できますから、これをAPRS網に流せれば面白いかもしれない。と、色々と考えていたところ、そのようなしくみが最近のD-STAR MLで取りざたされていましたので、早速テスト的にやってみました。 何だか難しそうに感じますが、APRSのデータ通信に利用されている「パケット通信(電波型式=F2D)」の部分をD-STARの「低速データ(電波型式=F7W)に置き換えただけ。単純な話です。 ※詳しい構築方法は、7M3TJZ 安田OMのサイトに解説がありますのでここでの詳細説明は割愛します。 ●D-STARとAPRSを融合した場合のメリット・デメリット ・メリット @D-STARでの位置情報データのやりとりは、シンプレックスやレピータで受信できた局の位置だけがトランシーバやパソコンの画面に表示されるという限定的なものでした。世界的なネットワークが構築されているAPRSと融合すると全世界のアマチュア局と位置情報を共有できます。 A位置情報を出すのはいいが、どうやって見るの?といった問題(?!)が簡単に解決できます。他の項目で紹介したとおり、APRSには豊富なソフトウェアやノウハウがあります。具体的には、WEBサイトやAGWTrackerなどのソフトウェアで位置情報を出す移動局をリアルタイムにパソコンの画面上に表示させることもできます。 B音声とデータを1波で送信できるので、音声用とデータ用の2台の無線機を用意する必要がない。 ※従来のアナログFM機で、430MHz帯で通話しながら、144MHz帯でデータ端子から入力したパケット信号などを出せる無線機もあります。この場合は、一般的にデータ用と音声用の2つの周波数を利用することになります。 ・デメリット @D-STAR対応無線機では、位置情報の発信をTinyTrak3のように「スピードに応じて」とか「角を曲がった時」に出すといったような高度な(?!)仕様ではなく、「設定した送信間隔」または「PTTを押したとき」に位置情報が送信されます。 Aパケット通信で盛んに利用されているデジピータ機能がない。 B今のところ、APRS網->DSTAR網のRFによる伝送経路は構築されていないので、APRS網を見るためにはインターネットアクセスが必要(DDモードで解決可能か?! でもDDは1.2GHz以上でないとできない) CAPRSの機能のひとつである、メッセージングができない。(LCWメッセンジャーで代用可) D音声と同時に伝送するため、統一周波数を利用するというような事が現実的には難しい。 E他の局が通話中は自分の位置情報を送信できない ●D-STARモードのIGATE局はどこで動いているの?! 2007年5月9日現在、レピータ局にD-STAR用のIGATE局がチューニングされているケースがほとんどです。以下のレピータでGPSデータを含めた電波を送信するとそれがAPRS網にデータとして受け渡されます。 ※以下D-STARモードのIGATE局を(勝手に)DPRS IGATEと表記します。
他にもDPRS IGATE局が運用されているようですが、どこのレピータにつながっているのかもわからない状態です。このような局はAPRS網の多数の利用者側から見れば謎の局としかいいようがない状態ですから、ぜひコメント欄を活用するなどして配慮していただければありがたいのですが・・・ ※JP1YJO(JARL直轄局ではないローカルレピータです)では管理団体の意向によりGPSデータの自動送信(但し、1分以上の間隔)もOKとのことですので実験やテストにも積極的ご利用いただけます。その他のレピータ局においては、自動送信はOFFに設定されることをオススメします。 ※DPRS-IGATE局は原則として受信のみでRF側にビーコンは出ません D-STARモードのIGATE局(DPRS Interface稼動局)は、APRSネットワーク上において、SSIDが I (アルファベットのI)に設定されているのが一般的です。D-STARモードで位置情報を発信している局は、SSIDがアルファベットになります。これはD-STARデジタルの仕様によるものです。 今後、DPRSのIGATE局はSSIDをIに統一するのが解りやすくて良いと思います。(IGATEの頭文字のI) D-STARレピータの世界では、新しいものを取り入れてゆこうという意識が高いようです。今後、各D-STARレピータ局に続々とこの D-STARモードのIGATE局が立てられてゆくかもしれません。 D-STARレピータは生まれや育ちが悪いといわれながらも、デジタルモードやD-STARの仕様を生かした「遊べるネタ」がまだまだタクサンある分野ともいえます。新しいモノが好きなかたにはチャレンジしてみてはいかがでしょうか? ●D-STAR対応無線機で位置情報を出す場合の設定とご注意 ↑D-STARモードでのGPS運用に標準で対応しているIC-2820 6ピンのデータ端子も装備しているのでTinyTrak3もカンタン接続。という事は・・・(笑) 概要を申し上げますと・・・ DPRS(D-STARモードのIGATE)を利用してAPRS網に自局の位置情報を送りたい場合には、無線機の設定ちょっとだけいじります。無線機によって多少の違いがあり、ちゃんと設定しないと、APRS網には送信されませんので注意が必要です。(各無線機にGPSレシーバを付けないと位置情報は出せません) 各D-STAR対応無線機の設定についての詳細は こちら が参考になります。 IC-2820(GPS-Aモードの利用) IC-2820はAPRSをDVモードで使用するためのモードが標準で搭載されていますので、基本的に付属のGPSアンテナをつないでMENUモードにて以下の設定をおこなうだけで即対応します。 (1)GPSをONにする。(2)DV-GPS->GPS送信をGPS-Aに設定 (3)GPS-Aセットモード内にあるアンプロト・アドレスを API282,DSTAR* に設定する。(カンマや*もそのまま素直に入力) ※GPS-Aモードでは標高データは送信されず、位置と時間と速度だけを送信するようです。 ID-800,ID-91,IC-U1/V1、または IC-2820でGPS-A以外に設定した場合 無線機の設定メニューでGPSをONにして、GPSメッセージ設定で、「シンボルやコメントのデータ」を入力します。このシンボルやコメントのデータ文字列は チェックサム計算機ページ で文字列を調べてそれをそのまま入力してください。このデータ文字列をひとつでも間違えるとAPRS網には転送されず、無視されます。一度設定すれば、あとは放置でOKです。詳しくは、いつもの http://d-star.dyndns.org/ に説明があります。 ※このモードを利用すると、IC-2820でも標高データが送信されます 。 ↑GPSメッセージ設定例。コールサインやコメント文字列によりチェックサム(上記の例だと*71)が異なってくる。必ず、チェックサム計算ページで文字列をしらべて入力する。 共通事項 ・通常は、PTTをONにした場合だけ位置情報が送信されます。設定した時間毎に自動的に送信するという設定も可能です。 ・APRSでは各データの最後にチェックサムデータが付されており、そのチェックサムデータが不適切な数値になっていると、それらのデータはAPRSサーバーに配信されず破棄されます。 ・位置情報を自動で送信する場合の送出タイミングは2分間隔以上に設定するのが良いようです。ただし、位置情報を頻繁に送信しても、それが全てゲートされるわけではありません。タイミングをみてAPRSサーバー側にデータを送信するようになっています。 ●実際のD-STAR IGATE局(DPRS Interfaceソフトウェア稼動局)の稼動画面 AE5PL局が開発した「DPRS Interface」はD-STAR運用局の位置情報をAPRS網に送り込むソフトウェアで、APRSでいうところのIGTAE局に相当するしくみです。 パソコンのRS-232C端子とD-STAR対応無線機のデータ端子(パケット端子ではない)をつないで、このソフトを稼動させるだけで、D-STAR DVモード専用のIGATE局が完成します。まだ、ベータ版というような感じもしなくはないですが、とてもシンプルで、UI-View32などとは異なり地図にプロットする機能などは一切なく、ゲートウェイのみの動作となります。 このDPRS Interface(DSTAR IGATE)局で受けた位置情報を AGWTRACKER で追跡した様子。↓ |
|||||||||||||||||||||||||||
. | |||||||||||||||||||||||||||
| APRSトップへ || ホームへ戻る | |