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Automatic Packet Reporting System

I-GATEを立ててみよう
(2009-02-17更新)


■I-GATE (アイゲート)とは??

I-GATE局とは、無線とインターネットとの間をとりもつ局で以下のような動作をおこないます。

(1) 無線回線側でキャッチしたAPRSビーコンやメッセージをインターネットを通じてAPRSサーバーに送り込む
(2) インターネット側から来たAPRSビーコンやメッセージ(データ)を無線回線側に送信する
← メッセージのみに限りましょう。

I-GATEを運用するには一般的にUI-VIEW32とターミナルノードコントローラ(略称TNC。パケット通信用モデム)で構成しますがTNCがない場合は、パソコンのサウンド機能を利用した「ソフトウェアTNC(AGWPE)」を使えばOKです。

・I-GATEはメッセージ送受信対応で!

I-GATE局を運用する場合はメッセージの伝送のために送受信対応にしましょう。位置情報だけなら受信専用I-GATEも有効ですが、メッセージのやりとりにはI-GATE局側で送受信に対応していないと、一方通行になり、ユーザーのニーズはマッチしないばかりか「このI-GATE運用者は何も知らないド・素人」と思われ、相手にされなくなるでしょう。

・I-GATEを運用する場合の注意点

APRSのメインストリートである周波数(144.64MHzは9600bps運用、144.66MHzは1200bps運用)では、ネットから無線回線側に送信するデータは「I-GATE局から電波が届く範囲の局(ローカル局)あてのメッセージ」だけに留めたほうが良いです。混雑した地域・周波数においてI-GATEから大量のデータを送信すると、移動局のデータの伝送効率が悪化し、多くの局の迷惑となります。
ここのページで解説しているとおりに設定すれば、他局に迷惑がられる可能性は極めて低いと思います。

■TNCを使わずにI-GATEを構築する場合
 (TNCがある場合には読み飛ばしていただいて大丈夫です)

パソコンのサウンドカードの入出力とRC-232Cインターフェースをちょっとした回路を介して無線機につなぐだけでパケット通信に対応できるソフトウェアがあります。それを使ってI-GATEを運用することができます。主役は AGWPEというソフトウェアです。

ソフトウェアTNCエンジン
AGWPE を導入してみよう

(1)パソコンと無線機の配線

RIG Blastar No MIC などのパソコンと無線機をつなぐインターフェース(サウンドカード用インターフェース)を用意してパソコンと無線機をつなぎます。このインターフェース回路の概要は以下のとおりです(RTTYやJT65などで使っているインターフェースを流用できます)。

1.受信AF系の処理
 無線機の外部スピーカ端子からの出力をパソコンのマイク端子に入力
2.送信AF系の処理
 パソコンのスピーカー端子からの出力を無線機のデータ端子やマイク端子に入力
3.PTT信号の処理
 パソコンのRS232CのRTS または DTR のHI-LOWの変化でPTTをON/OFFします

(2) AGWパケットエンジンの導入方法

@AGWPE.zip をダウンロード

AGWTrackerで有名なSV2AGW局のサイトからダウンロードします。こちらです。ここの AGWPE.zip (Packet Engine ver 2004.1108 Win95/98/NT/2k/ME/XP)をダウンロードして解凍して、適当なフォルダに入れます。ついでにAGWMONITOR.ZIPもダウンロードしておくと調整する時に便利です。

AAGWPEの設定

インストーラーはついていません。解凍したファイル群の中のAGW Packet Engine を起動するとタスクトレイに常駐します。そのアイコンをクリックして設定します。


Property →NewPort→OK→ で出てくるメニューを次の例のように設定します。

TNC TypeをSoundCardにします。そうすると別のウィンドウが開くので、使用するサウンドカードとかを選びます。左CHと右CHを配線すれば2ポートTNCとして利用できるようでですし、9600ボーにも対応します。たいしたもんです。

OKを押すとプログラムをリスタートしろと指示があるのでそうします。これでパソコンの中にTNCが出来上がりました。


B復調できるように調整

先ほど一緒にダウンロードした AGWMONITOR.zip を解凍して、そのフォルダで agwmonitor を起動。パソコンのマイク入力レベルや無線機のAF出力レベルを調整してちゃんと復調できるようにします。・・・パケット通信の電波が受信できない(やってる人がいない)地域ではキツいかもしれません。その場合はTinyTrak3の電波などを受信して調整すべしです。これでパソコンの中にTNCが出来上がりました。

APRSソフトウェア
UI-View32のインストールと設定
(I-GATE用の設定)

(1)UI-View32をインストールする

http://www.ui-view.org/#downloads から 32full203.exe をダウンロードしてインストールします。インストールするには「レジストレーションキー」と「5桁番号」の発行をうける必要があります。詳しくはこちらでご覧いただけます(リンク)。

日本では、JA6NKA局が登録などの作業をおこなっていますので、こちらのサイトで申し込んで、発行してもらってください。申し込むと、メールでこれらの番号が送られてきます。この番号は大切に保管してください。

・地図の作成と設定

UI-View32で表示される地図はハードディスク内に保存されているものを利用しますが、インストールした直後は東京を中心とした地図しか用意されていませんので、その他の地域の地図が必要なら、自分で作成・設定する必要があります。詳しくは、こちらをご参照願います。

(2)UI-View32のI-GATE用の設定とアドバイス

以下の例のように設定するとうまく動作します。

1.Setup->Station Setup コールサインや位置を設定



※説明がない項目はデフォルトのままでOKです。

・Callsign
固定局でI-GATEを運用する場合は SSIDはナシです。この場合、コールサインのみ記入してください。
・Latitude(緯度) Longitude(経度)
Google APRS Mapsなどで運用場所の緯度経度を調べて記入します。Google Mapsでは度分秒表示ですが、UI-View32の設定ではxx度oo.oo分です。小数点以下は10進数です。小数点以下2桁を60で割って100をカケた数値を小数点以下に記入します。
・Unproto Adress
I-GATEから発射するビーコンのデジピートパスを記入します。上の図のようにAPRSだけにしておきましょう。
・Beacon comment
ここに記述した内容が、Beacon Interval で設定した数値(単位=分)ごとに送信されます。UI-View Tagのチェックを外すとより長い文章を記述できます。ここには運用周波数やWiRESなどの運用周波数・ノード番号などを明記しておくと親切です。例: Tokyo I-GATE 144.66MHz 1k2
・Becaon Interval
APRSサーバー側へのビーコン(Intenet項目)と無線回線側へのビーコン(Fixed項目)の発信間隔を分単位で設定します。0 にしておくと。ビーコンが出ません。これは周波数の利用状況を勘案して決めると良いのですが30分以上の間隔にすることをお勧めします。I-GATEやデジがすでにある周波数で運用する場合、オススメ値は、Fixed 30 / Internet 0 です。

2.Setup->Comms Setup TNCやパケットエンジンの設定 

・AGWPacket Engine を使う場合


Host mode を AGWPE にするだけです。

・TNCを使う場合

TNCを使う場合は、Host ModeをKISSに設定すると良いです。Baud RateやParity、COM Portは、TNCとパソコンの間の通信条件ですので、それぞれの環境にあわせて設定してください。

3.その他の設定

Setup -> Status Text

Interval (Mins) を 0に設定しましょう!

Options


Options Sound Enabled のチェックをはずしておきます。

4.Setup->APRS Server Setup APRSサーバー・I-GATE用の設定 

ここで、APRSサーバーへの接続アドレスや、I-GATEの運用について設定します。



上の図のような設定でOKですが、以下に注意点を記します。

・Select One Or More Servers
接続するサーバーを選びます。初期値では、aprsjp.net:14579は選択肢の中にないので、マウスカーソルをSelect One Or More Servers の枠内に置いて、キーボードのInsertキーを押します。そこで、このアドレスを新たに入力し、選択します。複数設定できますが、ひとつだけチェック(設定)するようにします。また、日本から海外向けのデータはAPRSサーバー内で重複チェックをおこなっているそうですので、上記、aprsjp.net:14579など日本のサーバーを選択するようにします。
・Validation number
APRSサーバー用の5桁番号で、UI-Viewのレジストレーション番号交付時にあわせて交付されているのでそれを入力します(レジストレーション番号とは異なります)。
・Transmit I-GATE status
ここをチェックすると、I-GATEの状態をビーコンで送信しますので、他の局にI-GATEだということを判ってもらえます。
・Enable local server
このI-GATEをLAN接続でも利用する際にチェックします。通常はチェックしないでOKです。
・Gate local messages
必ずチェック!。このI-GATE局のサービスエリア内に居る局(I-GATEで受信できている局)を自動的認識してそれらの局あてのメッセージをこのI-GATEから送信するようになります。
・Use reverse digi path
必ずチェック!。Gate local messages で認識したローカル局あてのメッセージをネット側から受信すると、その局に向けてメッセージデータを送信しますが、自動的にその局のビーコンを中継したデジピータ(デジルート)を設定して送信してくれます。この機能をONにしておかないとI-GATEを利用する局のメッセージがうまくやりとりできない場合がありますので必ずチェックしましょう。

【参考情報】
JQ1YDAではローカルサーバーを社団局メンバー用に設定していますが、どなたでもご利用いただけるようになっています。どこに設定したら良いかわからない、うまくゆかない場合などにお試しください。設定方法はこちら

5.APRSサーバー・I-GATE用の設定 (File->Edit I-GATE.INI)



上記のように設定しましょう。以下注意点です。

Max Digis for local
上の図では0ですが、色々と実験した結果、最近は 1に設定したほうが良い事が解りました。ここの数値を0以外に設定することで、デジピータを介して受信した局をローカル局として認識させることができ、ハンディ機などでメッセージのやりとりをおこなう局にとっては価値あるI-GATE局になります。ここの数値はデジピータの段数(ホップ数)で、逆に2以上に設定すると、WIDE2-1などの広域デジピータに中継された局もローカル局と認識してしまい都合が悪いので、2以上には設定しないようにしましよう。

・Gate all RF to INET
ここのチェックは必ず外してください。チェックしてしまうと、APRS以外のパケットデータもAPRSサーバーに送ってしまい、意味がありません。

・Convert PNTSタブ内
意味がありませんので、初期値でOK。

・Inet to RF limitsタブ内
ここもいじらず放置です

・Inet to RFタブ内は以下のように空欄のまま運用しましょう。

ここを下手に設定変更すると大ヒンシュクを買います。
※どうしても、ここに何らかの設定をおこない「NET->RF方向のデータはきだし」をやりたい場合には、144.64/144.66MHz以外の周波数で実験的にやりましょう。

6.以上で設定は終了です。この状態でI-GATEは稼動しています。

設定、お疲れ様でした。
I-GATE運用のために「デフォルトの設定から」変更すべきおもな点は以上です。UI-View32に関しての説明サイトはたくさんあるので、他のサイトも参考にしながら設定してみましょう。
I-GATE運用局がない(または少ない)地域にいらっしゃるかた、古い1200bpsのTNCでもできますから、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
重ねてになりますが、運用周波数は 144.64MHzは9600bps、144.66MHzが1200bpsです。

[おまけ]
無線回線側の「パケット通信」を復調してみる



ツールバーの「Terminal」をクリックするとパケット通信でおなじみのフォーマットでデータを見ることができます。
上の図は、無線側のデータのみを表示させたものですが、デジピータが多用され様々な地域のビーコンを受信していることがわかります。これは、固定局からだとたくさん見えますが、移動体からだとここまでは見えません。パケット通信ではキャリアセンス(他局が送信中は送信を待つ機能)があるものの、この見え方の違い(電波伝搬の違い)がパケットの衝突(混信)を生みます。よって、I-GATEや固定局側から頻繁にデータを送信するような事を慎まなければ、混信の増加により混乱します。これらの件は、昔のパケット通信においては固定局対固定局の通信が主流でしたので問題視されませんでしたが、APRSではこのあたりをちゃんと考えてゆかないとダメなんです。だから、ビーコン発射のタイミングや、データの吐き出しは控えて!などと口うるさく言うのです。


無線回線側のデータのみ表示させたい場合には、Terminal ウィンドウ内のメニューバーから Options->Filterを選択し、Exclude Internet Traffic にチェックすればOKです。パケット通信の「ビーギャー」という音を復調する度にデータが続々と表示されるはずです。
データフォーマットは

送信局コールサイン > アンプロトアドレス , デジピータ , デジピータ... <UI R Len=データ長>:
データ内容


という感じになります。デジピータに*印がついている場合は、その*がついているデジピータの電波を受信したというマークです。複数のデジピータに*がついている場合には、一番右側の*がついているデジピータの電波を受信した。という事になります。



【運用周波数について】

全国的に 144.64MHzは9600bps、144.66MHz は1200bpsパケットでの運用となっています。
狭い地域にたくさんのI-GATEがあると、

「移動局1局のビーコンを多数のI-GATE局が拾ってしまう」→ネット負荷の増大
「メッセージデータが複数のI-GATEから一斉に送信されてしまう」→無線回線側の混雑

という副作用が発生します。これを良いとするか、悪いとするかは意見が分かれています。どうであれ、「自局が電波を発射することにより、どのような現象がおこるのか」をしっかり理解する必要があります。自由好き勝手は違います。ネットワークの運営は協調と横のつながりが大切であり、皆が好き勝手な運用をおこなうと、せっかくのネットワークもうまく動きません。

 APRSは数十年前から存在しているパケット通信(AX.25プロトコル)を使って移動局と固定局との間で繰り広げられる電波を利用した双方向のデータ伝送と、インターネットを利用して全世界規模で展開されているネットワークの要素がからむ非常に奥が深く複雑な通信ジャンルであり、チャレンジのしがいがあるというものです。
 移動体には5Wのハンディ機+付属のホイップで徒歩で運用する局から50Wクラスのモービル機を使った局までさまざまという背景があり複雑さに拍車をかけています。APRSを始めると1対1で繰り広げられる「アマチュア無線」とは一味もふた味も違う世界を実感できることでしょう。ぜひ、多くの方に「ネットワーク・インフラの一部を担うこと」と「それを使う楽しみ」を味わっていただきたいものです。

最後に、しつこいようですが
APRSのメインストリートである 144.64MHz 144.66MHzでは、インターネット側から来たデータを無線回線側に大量に吐き出す行為は多くの局の迷惑となりますのでひかえましょう!
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