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ルーター使用の場合

例えば、下記のようにパソコンが複数あって、1本の回線を複数のパソコンで共有している場合はルータという装置を使います。

このような環境下でWiRESを導入する場合には、ルーターに対して高度な設定をおこなわなければなりません。
 設定は @ローカルIPアドレスの固定(予約) Aバーチャルサーバー機能の設定(ポートの穴あけ)です。これをおこなわないと、下記の構成では、WiRESなどは動作しません。但し、eQSOゲートウェイやeQSOクライアントはこの設定をおこなわなくても動作する場合があります。

ローカルIPアドレスの固定方法に関しては こちら で説明してあります。まずは、ローカルIPアドレスの固定からおこなってください。

ブロードバンドルーターの例(コレガBAR-SW4P)





■ルーターの設定


・ルーターの機能のおさらい

NAT/IPマスカレード機能でIPアドレスを変換する

インターネットに接続されているパソコンでは、全世界でひとつだけのIPアドレスを1台1台に1個づつ割り当てて運用する方法が理想的ですが、本当にそれをおこなったらIPアドレスが足りなくなってしまいます。そこで、プロバイダー側でユーザーからアクセスがある度に新しいIPアドレスをアクセスしてきたユーザーに新規に割り当てて使うようなしくみが出来上がっています(ここで割り当てられているプロバイダが割り当てたIPアドレスをグローバルIPアドレスと呼ぶ)。しかし、それも1つのIPアドレスしかありませんので、ユーザー側で複数のパソコンを持っている場合は、上記の図のようにルーターを使ってデータの流れを交通整理する訳です。ルーターに接続されているパソコンには、プロバイダーから割り当てられたIPアドレスではなく、ルーターで変換されたプライベート(ローカル)IPアドレスと呼ばれる 192.168.×.×のようなアドレスが割り当てられるしくみになっています
(これをNAT機能と呼ぶ)。もちろん、192.168.X.Xから出たデータはルーター内でプロバイダーから割り当てられたIPアドレスに変換されてインターネット上に流れます。ローカルIPアドレスは頭の192.168を除いて自分で自由に決める事ができます。

 他方、固定IPアドレスと呼ばれるいつも決まったIPアドレスを割り当ててくれるサービスも受けられる場合がありますが、自宅でプロバイダー相当の運用するなどのニーズがない限り、固定IPは必要有りません。最近は、固定IPを擬似的に実現するしくみも出来上がっていますので、固定IPサービスはパーソナル・ユースでは必要無くなってきました。まずは、ルーターとADSL回線(ISDN回線)で充分です。

 ルーター側でIPを予約したからといって、パソコンのネットワークプロパティ内でiPアドレスを固定する設定は不要です。パソコン側では自動でIPアドレスをもらう設定にしてください。これはルーター内のDHCPという機能を使っているからです。パソコンには自動的に、予約したIPアドレスが割り当てられるのです。固定ではなく、予約なんですネ。

・ポートの話

 さて、インターネット上での機器の特定はIPアドレスです。インターネットに流すデータのカタマリに、送り元と届け先の情報をつけて流せば、誰から誰にデータを送るか判断できます。しかし、世の中には頭が良い人がいるもので、その送り元・届け先のアドレスの他に、ポート番号という番号も送受信する事にしたのです。
 実はこの「ポート番号」でどのアプリケーション宛てのデータか判断するのです。 解りやすくいうと、

「202.123.456.789」のパソコン御中、「5198」番のポートを使っているアプリケーション様

という具合で、データの小包(パケット)が届けられるという按配です。例えば、ポート番号5198番のデータパケットはEchoLinkが使っているポートですので、パソコンの中では、あぁ、このデータはEchoLinkに引き渡せば良いな、と判断されるわけなのです。

 それぞれのソフトで使用しているポートは下記のとおりです。

 Echolink  UDP 5198番と5199番  TCP 5200番
 WiRES TCP 40000〜50000 UDP 40000〜50000 ※実際にはこの範囲内のいくつかのポートを使っている
 eQSO(サーバーのみ) TCP 10024番(変更できます)

上記にTCPとUDPというのがありますが、これはTCP/IPプロトコル(手順)に定められている「パケットの構造」の名前です。こいつらの違いはパケット(データの小包)の頭につく制御データ。TCPパケットは、エラー制御用データがあり、データのエラーを防止しています(そのかわりデータがでかく処理が遅い)、他方、UDPパケットの頭についているのは、送受アドレスとポート番号のみです。ですから、エラーが起こっても制御できませんが、そのかわりデータ転送が早いのです。VoIP無線では、局の接続に関する情報はTCPパケットでつかさどり、音声データはUDPパケットを使っています。ですから、回線状況が悪いと「音が飛んだり」するのです。

なお、インターネットエクスプローラーなどのブラウザソフトは、たくさんのポートが使えるようになっている上、ちょっと複雑な処理を付加している関係で、インターネットエクスプローラーを複数のパソコンで複数立ち上げても大丈夫というしくみになっています。

・ルーターを使うとなぜ「穴あけ」が必要か?

実は、1個のIPアドレスしかないインターネット回線を複数のパソコンで使えるようにする「ルーター」という装置には、この「ポート番号」をうまく利用して、「このポートのデータはどこのパソコンに送るのだ」という情報にもとづいてデータの仕分けをおこなうになっています。よって、ルーターにちゃんとした設定を施してあげないと、データが迷子になってしまい、目的のパソコンまで届きません。
 ですから、設定がイケていなと、相手には届いているがこっちには来ない。という事なるのです。こっちに届いたデータがこっちの都合で迷子になっているのですから当然です。

 たとえば、EchoLinkあての 5198〜5200番あてのパケットは、ローカルIP 192.168.0.3 のパソコンに送れ、といった具合に設定してやるわけです。ですから、ひとつのルーターに複数のパソコンがつながっていても、EchoLinkはそのうちの1台でしか動かない事になります。

 なお、インターネットエクスプローラー(とその機能を使ったソフト)では複数のポートを使いますが、もともとルーター自体がそれに合うように作ってあるために、特に設定変更なく使えるのです。

[実際の設定のしかた]

ちょっと古いルーターですがかなり売れたと思われる IOデータの NP-BBRxpを例にとって説明します。

・ルーターのバーチャルサーバー機能を使ってポートを開けよう



IOデータやコレガ製のメジャーなメーカーのルーターでは、「バーチャルサーバー」機能を使って、これらのポートを開ける事ができます。解り易く表現すれば、どのパソコンに対してどのポートを開けるかという感じで指定します。ですから、WiRESやEcholinkをインストールしてあるパソコンのローカルIPアドレスを固定(予約)できている事を確認してからポートを開ける作業に着手してください。(どのパソコンか特定できなければ意味がないので・・・)

(→右 IO-DATA NP-BBRxpのメニュー)
(↓下 IPアドレスの予約・固定の設定画面例)



■バーチャル・サーバー機能設定画面

 下の図は、192.168.0.6のマシンに、TCP 40000-50000を割り当てている様子です。(WiRESの場合の例) なお、IPアドレス1個につき複数のポートを開ける事ができます。開け済みのポートはリストになって表示されています。 WiRESの場合は、UDP 40000-50000も開けなければなりませんので、もう一組設定してあげましょう。
 ちなみに、Echolink、eQSOは1台のパソコンで一緒に動かせますので、1台のパソコンに対してWiRES、Echolin、eQSO用のポートをあらかじめ開けておくと良いと思います。



どうです? うまくいきましたか?
バーチャルサーバー機能が見つからない場合には、ルーターのファームウェアーをバージョンアップしてみてください。古いルーターの場合はバージョンアップしないとバーチャルサーバー機能に対応できない場合があります。

(C) JS1CYI Hiroshi Yoshozawa
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