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アマチュア無線(FMモード)のスーパーナロー化(SNFM)

いまやアマチュア以外ではFMモードで12.5KHzステップがあたり前。
20KHzステップはアマチュア位・・・

決して広いとはいえない「VoIP無線用周波数帯」
10KHzステップで運用できるスーパーナローFMを使って
周波数利用の効率化を図りませんか?



送受信がスーパーナローFMに対応したトランシーバの例
(スタンダード FT-8800)



平成21年3月30日に VoIP専用区分 が含まれるアマチュア無線バンドの使用区別(いわゆるバンドプラン)が改訂され施行された。144MHz帯では100KHz、50、430、1200MHz帯では300KHzという帯域が割り当てられ、人口密集地では50、1200MHz帯を除いて区分内のほぼ全ての周波数にノード局が運用されている状態に至っている。想像できた事ではあったが、5年前の実態(アクティビティ)に基づき組まれたプランがほぼそのまま施行されたものであるので、何とも悩ましい限りである。とはいえ、何を言おうが決まったこと。文句を言っても始まらない。
 そこで、この混雑を緩和し、新参される局も何とかなるように、その帯域内ではスーパーナローFM(SNFM)の利用を前提として、10KHzステップでの運用をおこない、周波数の利用効率を今の倍にするというのはいかがだろうか。幸いにも、144/430MHz帯のモービル機・ハンディ機のうちスーパーナローFMに既に対応している物は結構ある
 VoIP無線界にとってはナロー化といっても決して難題ではないはずだ。7MHz帯のCWバンドで、CWフィルタが入っていない無線機で受信すると混信でかなり聞き取りずらい。ところが、実際にはほとんどの局がCWフィルタを入れて快適に受信し、交信している。それと似たようなものである。しかも、VoIP無線の世界ではトーンスケルチやDCS(DTCS)による、受信信号の選択が一般化しているため、スーパーナローに対応しない無線機を使っていても、いわゆる「カブリ」の影響をこれらの機能でブロックできる事も多い。
 参考までだが、UHF帯における業務無線や特定小電力、コードレスフォンなどの周波数ステップは12.5KHzステップがあたり前。今後はデジタル化により、6.25KHzステップへと移行してゆく事が「総務省の指針において」決まっているそうだ。さすがに、アマチュアに業務無線の話を適用するのはナンセンスかもしれない。だからといって、いつまでも20KHzステップを甘んじて続けてゆくのもアマチュア無線の位置づけに照らして恥ずべき話だと思う。「アマチュアは進歩的であれ」である。


スーパーナローFMとは?

スーパーナローFMとは、通常FMの帯域幅(免許可能な最大帯域幅は30または40KHz以下/現状は16KHz、事実上10〜12KHz位)を約半分(5KHz〜8KHz)に絞ったFMモードの事で、最近発売される無線機の多くがこのモードにも対応できるようになっています。スーパーナローFM局同士であれば、10KHzステップで運用でき、周波数の利用効率が今の倍になります。
 このスーパーナローFMは、29MHz/FMや144MHz帯におけるパケット通信で活用されてきました。

 技術的には、送信電波のデビエーション(変調レベル)を下げ、受信のフィルタを切れのよい(狭帯域)の物に変更すれば非対応無線機でもスーパーナローFMに対応する事ができます。

スーパーナローFM、通常FMの共存はできるか?

 色々と実験を繰り返してきましたが、結果は厳しいものでした。通常帯域のFM局が使っている無線機の受信フィルタの問題でダメなんです。あの狭帯域(占有帯幅6KHz以下)を唄っているD-Starデジタルの電波でさえ通常帯域のFM機で受信するとかぶります。
 具体的には、通常帯域用のFM機では、計算上でも10KHz離れた周波数で帯域幅が4KHz〜6KHzを超える電波が出ていると「カブリ」を体感します。よって、
スーパーナローFMだからといって、通常のFM局にカブラナイという事はありません。
 というのも、通常のFM機では「占有帯幅が16KHz以内」の帯域幅のFM局を受信するに適した比較的ワイドな特性のフィルタが採用されている事が原因です。
 逆にスーパーナロー対応無線機には占有帯幅が10KHz以下のFMを対象とする受信フィルタが装備されているというわけです。実際には、6KHz〜8KHzになるのではと思います。
 単純に、通常帯域局の無線機の受信フィルタの都合でスーパーナローが使えていなかった。それだけの話しです。

 JG3EBBさんがスーパーナローFMでの運用実験をおこない、WEBでレポートされています。ぜひこちらもご覧ください。
http://jg3ebb.dip.jp/s-narrow.htm

スーパーナローFMが普及しない訳

音質が悪いとか、そういう事が理由ではないと思います。経験上、音質の劣化は誤差の範囲です。
 今までスーパーナロー化が進まなかったのは、従来の運用方法ではそのニーズがあまり無かったこと。そして、従来のモービル機やハンディ機そして、今発売されている無線機全てがそれに対応してるとは限らないという事だと考えられます。。
 そして今、VoIP無線が盛んになるにつれ注目され、専用区分ができた事でニーズが高まったと言えるのではないでしょうか。

29MHz/FMのスーパーナロー慣習

スーパーナローFMは、29MHzFMにおいて周波数の割り当て範囲が合計320kHzと狭く、慢性的な周波数不足となっていたため、先輩諸氏によって狭い占有周波数帯幅で運用できるように考案されたもので、以下のような慣習が成り立っているようです。

29.000MHz〜29.100MHz SNFMの推奨範囲
29.100MHz〜29.200MHz SNFMおよびNFMの共存範囲
29.200MHz〜29.300MHz NFMの推奨範囲(ワイドとの共存可。事実上スーパーナローも可。)


(参考)
送受信がスーパーナローFMに対応した無線機の例


・YAESU (Standard)
 FT-8900(左バンドのみ)
 FT-8800
 FT-817
 FT-847
 FT-857
・ICOM
 IC-2820
 ID-800
 IC-V1
 IC-U1
 ID-91

・Kenwood
 TM-V71
 TM-D710

※送信のみスーパーナローに対応し、受信は対応してないトランシーバもあるので注意してください。


(参考)狭帯域フィルタの参考資料
村田製作所
Murata フィルタ・カタログ(総合)
CFWLA455KGFA-B0(CFW445F)
CFWLB455KGFA-B0(FT-7800にマッチ?)


(下図)通常FM(NFM)とスーパーナローFM(SNFM)の関係図。なお、D-Starデジタル(F7W)の占有帯幅は約5.7KHzですのでD-StarデジタルでもNFMにカブル。いずれも、ほんの数KHzの差。これがネックで未だに20KHzステップに甘んじているのはとても惜しい。経験上、S=3以上の信号だと、上下10KHzにおいてカブリが気になるレベルになるようだ。
【余談】

■D-Starデジタルによるナロー化推進

 アマチュア無線のデジタル化も周波数の有効利用を意識したものと思われ、D-Starデジタルにて占有帯幅6KHz以下(※)、実質占有帯幅5.7KHz。データを入れなければ約4KHz程度の占有帯幅で済むそうですので、計算上は6.25KHzステップでの運用が可能ですが、10KHzステップでの運用が標準化しています。D-STARレピータが「10KHz台が奇数の周波数」も利用しているのはそのようなことが理由となっています。
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