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ID-1のWiRES対応にチャレンジ
購入直後マナイタの鯉になってしまったID-1
はたして運命はいかに。
430MHz帯以下のバンドでノード局を運用するとローケーションによってはストレスが溜まってしかたがない。QRP運用を心がけたり、神経質にノードを監視するのも大変だ。現状では、QRP運用や不法局・違法局などのQRMで結果的にサービスエリアが狭いノード局を細々と運用せざるを得ないケースも少なくない。そこで考えたのが、1200MHz帯以上の周波数でノードを運用してみてはどうかということだ。
 バンドが広い分、430MHz帯よりは使いよい。430MHzでQRP運用するよりも、1200MHz10Wのほうが、サービスエリアが広がるかもしれない。それよりか、1200MHz帯の思いも寄らぬ不思議な飛びを体感できるかもしれない。また、私設ビーコンを運用するなどして実験をおこなっている1200MHz帯以上のバンド。VoIPのノード局がビーコン代わりになりそうだ。聞くだけではなく、実際に交信する事すら可能になる。VoIPネットワークをアマチュアバンドの活性化に利用してみるという手もある。


なぜID-1でWiRESノード運用?!

ヤフーオークションなどで1.2GHzのモービル機を入手しようとしても相場の上昇は留まるところを知らず。それも使い古しのリグがほとんど。それゆえ、経年変化でfズレしていたりパワーダウンしているなどのようなリグも少なくない。私もいくつかの1200MHzモービル機やハンディ機の中古をヤフーオークションでゲットしたが、いくつかのリグは再調整が必要だった。ハッキリいってそんな物はお勧めできない。予算に余裕があれば、ぜひ新しい無線機を用意される事をお勧めしたい。(確かに、それらを直して使うのも楽しいが・・・)

ところが1200MHz帯の新しい無線機といっても、市販されているものといえば、アイコムのIC-910(オプション必要)ID-1、ケンウッドのTS-2000X(SX)、しかない。あとは、マキ電機のトランスバータという手もある(10W版が出た!!)・・・。しかもハンディタイプのものに至ってはVR-150などの受信機ぐらいだ。今となっては、モービル機として売られているのはID-1だけ。そこで、ICOMのID-1でWiRESノードを運用すべく、スケルチ信号の取り出しにチャレンジしてみた。


スケルチ信号を取り出すと応用範囲が広がる!!

ID-1にはデータ端子がない。よって、WiRESコントローラーHRI-100をID-1につなぐにはスケルチ信号の取り出しと、音声信号入出力部分を配線しなければなりません。ちょっと面倒ですが、この対応により、ID-1を活用できる幅が広がります。たとえば・・・この信号を取り出すことにより、WiRESはもとより、
IRLPのノード局でも利用できます。さらに、トーンスケルチにも連動しますのでアナログの自作レピータに応用できます。
 さらに面白いのは、WiRESのノード局としてパソコンをつないた場合、WiRESのソフトウェアとあわせてVNCをインストールする事でインターネット回線を利用した
遠隔操作の要件を満たした送信機として申請することもできます。さらに、ID-1とLANケーブルをつなげば、必要に応じてD-Star DDモードでも「遠隔操作で」実験できますから、非常に面白いシステムが構築できます。
(無線設備の遠隔操作における音声の伝送にはVoIPを利用します。もちろん、VoIPはWiRESシステムを流用)

ID-1のスケルチ信号取り出し ちょっとつまづいた・・・

SQL信号として使えるラインは早々と発見したものの、ここの信号はMute信号または何らかの制御信号らしくトランジスタで反転回路を組むも、ID-1の動作が変になりました・・・。悩んでいたところ、JL3OGC局(WiRES#5379)から情報および試作回路を頂戴し解決!しましたので、その回路を含めて公開します。

WiRESコントローラー(HRI-100)とID-1をつなぐインターフェース全体の回路図


(拡大)
74HC04のピン配置
ご注意: 74HC04の未使用の入力側 3,5,9,13,11番ピンはGNDに落としてください。4,6,12,8,10番ピンには+5Vが出っ放しになりますので絶縁は慎重に。

上記の構成では、HRI-100の機能はPTT制御とDTMFデコーダの部分のみを利用します。音声に関してはID-1のマイク端子とスピーカ端子をパソコンのマイク・SP端子とHRI-100を介さずに接続します。そうしないと、インターネット側と無線機から送信音声が固くなります(高域が強調された音声)。これは、もともとデータ端子用に設計されたHRI-100内部のプリエンファシス回路の関係からだと思われます。TM-833などでも音声が固くなる場合も同様。このようにプリエンファシス回路をパスする事で送受信する音声の音質が改善されます。なお、分圧回路(100Ωと10KΩ)はなくてもOKですが、これがないと、パソコンのクロック音が変調音に混じる場合があります。(クロック音=時計の秒針が動いているような音←正式な用語ではありません)

スケルチ判定に使える信号の取り出し箇所
上記の回路図で「ID-1 Mute」と書いてあるラインは以下の場所と接続します。ID-1の腹を開けてすぐに発見できるカニマークのLSIのちょい下です。ここは普段+5Vがかかっていてスケルチが開放されると0Vになります。



74HC04へ供給する電源(+5V)は必ずID-1の内部から取ります。写真のとおりID-1の中にある 7805の足から取ると便利です。写真に写っているTA7805Fの左の足が+12V、センターの短い足がGND、右側が+5V出力です。隣接する部品やランドと接触すると、ID-1を破損する恐れがありますので、充分に注意して配線してください。

(JL3OGCさんから頂いた)74HC04が載った基板 74HC04のフラットパッケージを利用。裏側に1MΩの抵抗も付けてある。次は1回路だけのICを利用しもっと小型化したい。

これをID-1に埋め込む

基板をビニールテープでぐるぐる巻きして絶縁。空きスペースに突っ込む。HRI-100につなぐスケルチ信号線(白色リード線)は空冷ファン付近のちょっとした隙間から筐体外へ。

私の場合、ID-1のマイク端子やHRI-100、パソコンのサウンド入出力端子と接続するラインは全てコネクタで接続できるようにしました。 シールドされたコネクタ(上の四角い金属製のパーツ)はミニDIN 6ピンジャックの基板取り付けタイプのものです。(秋葉原の千石電商の2Fで購入)。緑色の基板はサンハトヤサンハヤトCK-18という製品でRJ-45ジャックを蛇の目基板ピッチに変換してくれます。これは、RJ-45を利用した機器の自作に重宝します。(秋葉原の千石電商の1Fで購入) あとはマイク端子とこの基板を普通のLANケーブル・ストレートタイプで結線すればOK。



ID-1を使ったノード局の画面の様子。(遠隔操作操作で操作している)


この件に関してご支援いただきました JL3OGC壷田さん、ありがとうございました!!
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